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楽しいランニング

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長年の研究から分かったランニングと健康の関係 ランニングはカラダにいいって、本当ですか?

走っている人は誰もが健康的に見えるもの。でも実際、ランニングは身体にいいのだろうか? そして、いいとしたら、何がいいのだろう? そんな基本的な質問に、スポーツ医学の専門家である慶應義塾大学スポーツ医学研究センターの石田浩之准教授が答えてくれました。

撮影/内藤サトル 文/ JQR 編集部

 

「運動と健康に関する研究は1960 年代から世界中で行われていて、運動習慣があると総じて長生き、という結果は一致しています」

こう語るのは、慶應義塾大学スポーツ医学研究センターの石田浩之准教授だ。運動によるエネルギー消費量が増えることによって、いいことがいろいろあるという。「代表例は減量ですね。体重は入ってくるエネルギーと出て行くエネルギーのバランスで決まるので、運動することによって出て行くエネルギーが増えれば、当然エネルギー収支がマイナスになり、減量が期待できます。しかも個別に見ると、糖尿病、高血圧、高脂血症、メタボに関して、運動習慣のないグループよりあるグループの方が、将来そのような病気になる確率が低く、また罹ったとしても病気の進行が遅いことが分かっています」

では、その運動としての、ランニングの効果は?

「先に述べた医学的な研究において、運動が身体にいいと証明されたほとんどが、実は有酸素運動なのです。ランニングはその代表ですね。全身を使った有酸素運動ですから、負荷が身体全体にかかり、心肺機能の向上が期待できます」

日常生活以上の負荷を与えて心肺機能を強化すれば、当然、日常の生活は楽になる。身体的なフィットネスの向上によって、階段を駆け上がったり、電車に間に合うよう小走りに急いだりしても、息切れすることもなくなるに違いない。

長距離ランナーは総じて細身

「箱根駅伝やマラソンの選手を始めとする長距離を走る選手は、誰もが痩せています。身体を運ぶのに必要な最少量の筋肉は維持しますが、身体を運ぶのに不要な体重は落ちてくるんですね」

と石田准教授。確かに、オリンピックの100 m決勝でスタートラインに並ぶ選手を眺めれば、これは筋肉美を競う大会か?

と見紛うほど。一方、マラソンのトップランナーは総じて身体の線が細く、しなやかだ。

「思い立ったらいつでもどこでもできる。これはランニングの大きなメリットだと思います。しかし、運動習慣がない人は、いきなりは始められません。100 メートルや200 メートルは走れるかもしれませんが、先が続かないでしょう。そのような人は、最初は早足で歩くことから初めて、3 分歩いて1 分走る、を繰り返しながら、だんだん走れるようにしていくのがいいですね」

いいことずくめのランニングだが、デメリットはもちろん怪我である。

「ランニングは筋骨格系への負荷がそれなりに大きい運動です。これは走る距離や時間に依存するので、長い距離を走るベテランになるほど傷害が出やすく、中でも膝と靱帯を痛める人が多いですね。また、足の形やO 脚、X 脚などによって、重力方向の力が関節の一部に集中する人は、走りすぎると傷害が出やすいようです」

走ってどこかが痛くなったら、無理して走らないことが肝心。走った後のアイシングやストレッチも重要だ。

「特に痛みがある場合はアイシングをしましょう。走った後に膝が痛くなる人は、15 分から20 分間、きちんと患部を冷やすことですね。一過性でなく、同じような痛みが繰り返される場合は、原因をしっかり見極める必要があります。専門のトレーナーに足腰の筋力バランスや柔軟性、ランニングフォームを見てもらうのも、問題解決の一歩かもしれません」


ランニングがカラダにいい理由

1.代表的有酸素運動で心肺機能が向上する
2.体重減少が期待できる
3.肥満や生活習慣病の予防・改善


石田先生からひと言

無理せず、自分のコンディションに合わせて続けることですね。最初はめんどくさいでしょう。辛いとか、嫌だなと思うかも知れませんが、それを続けると、やったことに伴っていいことが起きてくる。例えば、楽に走れるようになった、体重が減り始めた、検診の数字が良くなった、などですね。そういうことがあると、それが継続する動機付けになってきます。まずは続けること。楽しく走ってください。大会に出るのも、ひとつの目標設定になっていいですね。


石田浩之(いしだひろゆき)

慶應義塾大学スポーツ医学研究センター准教授。専門はスポーツ医学。日本アイスホッケー連盟医科学委員会委員長、International IceHockey Federation Chief Medical Officer、日本オリンピック委員会医学サポート部会委員を務める。

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